2017.11.01
今、人類に起こっている諸問題について、ゲノムの観点からお話をいただきました
10月19日(木)に高3の「生物」の授業、20日(金)・24日(火)に高1の「生物基礎」の授業の一環として、本校の理事長である榊佳之先生に、ご自身の研究領域である「ヒトゲノム」の観点からの講義をしていただきました。
高3の授業では、「人類・地球、生存の条件を考える」というテーマで、人口増加、地球温暖化といった、世界の抱える諸問題の現状を詳細に説明されたうえで、それを解決に導く一つの切り口としての、ゲノムを解析、合成および編集する技術について教えて下さいました。
高1の授業では、第1回は「ゲノムと健康」、第2回は昨今特にメディアを賑わせている「遺伝子診断・出生前診断を考える」というテーマで、先端科学技術の進歩における「光」と「影」の両面から、お話をいただきました。
生徒たちにとってこれらの時間は、理事長先生に近くで講義をしていただいた貴重な時間であり、また未来を担う存在としての自覚を抱き、自分自身にこれから何ができるか、先端技術の恩恵をいかにして活かしていくべきかを考える機会になりました。
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特別授業の様子(高3)
◆高3生徒の感想より◆
・研究者には、高い倫理観だけでなく、何十年後も先のことを考えることが一番と言っていいほど重要であると感じました。遺伝子ドライブ(※ゲノム編集技術の一つ)の研究のように、人間の利益だけを追求する研究は、生態系を破壊し、最終的には人間にも大きな悪影響を与えてしまうということにもなりかねません。そのようなことがないように、自分の利益ではなく、地球環境全体のことを考えながら研究をしなければならないと感じました。
・このままいくと人間は絶滅の道をたどる可能性があると知った。科学技術に頼らない部分での、人間どうしの協力が必要になってくると思う。また、どうしたら自分たち人間は生物の一部、生態系の一部なのだと自覚できるのか、私なりに答えを探していきたい。
◆高1生徒の感想より◆
・写真とともに見ると、急速に技術が進展していることがよくわかり、感動とともに驚きを覚えた。実際に現場で使用されている道具に触れられたのは嬉しかった。2回目の授業では生命倫理についてのお話だったが、生徒間でも意見が分かれ、深く考えさせられる問題ばかりだと感じた。実例を交えたお話だからこそ、技術がより身近なものに思えた。
・出生前診断でダウン症とわかった人の9割が中絶をすると聞き、衝撃を受けました。命をそんなに簡単に扱っていいのか、ダウン症の子は生きられないのかという疑問も生まれ、改めてこの重大な問題に向かい合うことができました。技術によって人の命がこわされたりしてはいけないと思います。
・出生前診断が単に良い、悪いと決め付けるのではなく、自分がそれを有効に活かせるかどうかによって出生前診断に対する見方が変わってくるのではないかと考えさせられました。