本校におけるオンライン授業の取り組みについて

はじめに

突然の登校停止により、学校での学びが継続できなくなってしまった生徒たちに対して、学びを止めないために学校として何ができるかを考え、本校では4月よりオンライン授業を実施しました。
今回、このオンライン授業についての記録をまとめ、公開することによって、多くの方々に本校の教育活動について知っていただく機会となれば幸いです。

オンライン授業の
準備・実施内容

本校では2016年からICTの環境整備を進めてきました。
本校のICT環境やオンライン授業の実施内容についてご説明いたします。
校内 Wi-Fi環境完備
普通教室 プロジェクター、スクリーン、Apple TV完備
教員 ノートPC及びiPad(美術科にはiPad Pro)を貸与
希望者にはApple Pencilを貸与
教員間の情報共有ツールとしてビジネスチャット「InCircle」を利用
生徒 本校では、2019年度から中学三年次にiPadの貸与を行い、デジタル教科書等を用いながら学習を進めています。
(在学中は学校貸与という形をとり、MDMにより管理。卒業時に譲渡予定)
2020年4月1日時点で高校1年生全員がiPadを持っており、4月下旬には中学三年生全員にiPadの配布を行うことができました。(ただし、画面の大きいPCを使用したり、TVとミラーリングして授業を視聴している生徒もいました。)
生徒用貸し出し用iPad:約40台(1クラス分)
本校では、すべての教科で授業のLIVE配信、双方向型授業をオンラインで実施しました。英語の授業などグループワークが有効とされる科目においては、ZOOMの機能を利用した少人数でのグループワークを実施しました。長時間、画面の前で授業を聞くだけという形になりがちなオンライン授業においても、生徒に様々な学びの形が提供できるよう工夫しました。
家庭科の調理実習や体育の球技などオンライン授業では取り組むことができないものもあったため、予定を変更して、オンライン授業でも行える単元に組みなおしながら実施しました。
家庭科の授業ではスクリーンに板書を映しながら刺し子の説明をしました。あらかじめ注文してあった材料は生徒それぞれに郵送しました。
家庭科の授業ではスクリーンに板書を映しながら刺し子の説明をしました。あらかじめ注文してあった材料は生徒それぞれに郵送しました。
体育の授業も行いました。生徒には必要な準備として体操着と「体を動かせるスペース」と伝えられたようです。
体育の授業も行いました。生徒には必要な準備として体操着と「体を動かせるスペース」と伝えられたようです。

ZOOMによる面談や昼食時間

ZOOMを使って、個別面談を実施したり、昼食時に画面越しに集まって一緒に食事をするという、平常時に近い形での教育活動を心掛けました。

オフィスアワー

受験を控える高校3年生に対しては、各教科担当が放課後にオフィスアワーを設けるなどして学習面のサポートを行いました。
オンラインで実施した授業以外の取り組み
授業の
LIVE配信アプリ
ZOOM (「各教室」となるZOOMのアカウントを約30契約しました。)
授業の
配信機材
生徒用貸し出しiPad約40台 ZOOM配信用の機材として、2018年度から導入していた生徒用貸し出しiPadを使用しました。 各教室に一斉に整備できたことが、本校のオンライン授業の準備を短期間で行えた要因と考えています。
授業支援アプリ MetaMojiClassRoom
授業プリントや
課題の配信・提出
Classi、Google Classroom
その他、教員の判断で様々なアプリを使用
4月はオンライン授業のトライアル期間とし、一週目は授業時間や休み時間の長さ、時限数などについて、生徒にアンケートアプリのGoogleフォームでアンケート調査しました。その結果、生徒の健康への配慮や、生徒からの要望を取り入れて、休み時間や昼休みを長めにとる時間割に変更しました。
通常授業
45分×7時限
(学年によっては8時限) 休み時間10分/昼休み45分
トライアル期間一週目
45分×5時限
休み時間10分/昼休み45分
トライアル期間二週目
40分×5時限
休み時間20分/昼休み60分
最終的な時間割
40分×5時限
休み時間15分/昼休み60分
また、時間割の作成にはAIを用いた時間割作成ソフトを使用しています。トライアル期間中は教科の要望や教員の働き方に配慮した時間割を毎週作成することになりましたが、時間割作成ソフトによってスムーズに行うことができました。
以前から使用していた、学校HP及び 学校連絡網サービスを使用して各家庭・生徒への連絡を行いました。

学校から各家庭・生徒への
連絡手段として使用したサービス等

  • 本校HPの在校生・在校生の保護者向けページ
  • 保護者向け学校連絡網サービス「きずなネット」、「Classi」
  • GW以降、Classiの接続障害が目立つようになったため、代替としてGoogleClassroomを生徒への課題配信や提出のために運用。
  • 必要があれば、電話や郵送を使用。
Google フォームで各家庭のICT環境の調査を行い、それに基づいて、以下の4点について各家庭にICT環境の整備をお願いしました。
  • 1.
    生徒が日中授業を受けるために使用することのできるWebカメラ付きPC、タブレット端末、スマートフォンのいずれか
  • 2.
    Wi-Fi環境(Wi-Fi環境がないとデータ容量の制限のために授業に参加できない恐れがありました。)
  • 3.
    配信された授業プリント、課題プリント等の印刷のためのプリンター
  • 4.
    リスニングやスピーキングに対応するためのヘッドセット
Webカメラやプリンター、ヘッドセットがないご家庭からのご相談に対しては、授業を視聴できる端末、Wi-Fi環境があれば授業への参加は可能であることをお伝えしました。また、PCやタブレットがないご家庭には、スマートフォンで対応していただいたり、ご家庭の判断でPCやタブレット端末を購入していただいたご家庭もありました。

生徒が授業の視聴に使用したICT機器

【生徒へのアンケート結果】
  • PC:約48%
  • タブレット端末:約43%
  • スマートフォン:約8%
1.主にどの端末で視聴しましたか
  • PC
    (デスクトップパソコン・ノートパソコン)
  • タブレット(iPadなど)
  • スマートフォン
  • ミラーリングしてTVなどで視聴した
ZOOMの機能を使って、授業ごとに出席している生徒の確認を行いました。あくまでも、ネット環境の不具合等で授業に参加できなかった生徒に対して授業後にフォローするための確認にとどめ、指導要録上の出欠とは捉えないものとしました。あらかじめ、体調不良等で授業に参加できない場合は、平常時同様に、保護者の方から欠席の電話連絡を頂くことにしました。
電話連絡やClassi、Google Classroom、MetaMojiClassRoom等を通じて、その日に行われた授業について連絡を行いました。

オンライン授業開始前~
6月までの取り組み

本校のオンライン授業に至るまでの流れ、またオンライン授業開始から6月までの取り組みを時系列にご説明します。
2月27日(木)
安倍首相による休校要請
2月28日(金)
3月2日(火)からの登校停止決定
2月29日(土)
生徒に登校停止期間中の対応についての説明 登校停止期間中の課題の配布
3月2日(月)
高校3年生の卒業証書授与式 規模を縮小しての挙行 (高校3年生以外は家庭学習)
3月3日(火)
  • 登校停止期間開始 教科書・副教材は取次書店の協力により生徒宅へ配送
  • iPadを配布されていた現高校1年生はMetaMojiClassRoom上でHR活動・学習支援実施
3月13日(金)
登校停止期間の延長決定 後期期末考査中止
3月下旬
オンライン授業の実施検討開始
4月2日(木)
  • 登校停止期間の延長及びオンライン授業実施決定
  • 各家庭にGoogleフォームによるICT環境調査実施
  • ICT教育検討委員会・教務課によるオンライン授業の時間割作成・校内の環境整備開始
4月4日(土)
静岡聖光学院ICTチームの協力により、教職員に対してオンライン授業の研修
4月6日(月)~11日(土)
  • オンライン授業準備期間
  • 教員への研修、生徒への教材の郵送
4月7日(火)
オンライン授業実施にあたっての環境整備のお願いを各家庭に連絡
4月14日(火)
高校2・3年生オンライン授業開始
4月15日(水)
高校1年・中学三年生オンライン授業開始
4月16日(木)
中学二年生オンライン授業開始
4月17日(金)
  • 中学一年生オンライン授業開始
  • Classiの運用開始
4月20日(月)
  • 教職員、校内外における分散勤務開始
  • 教員によっては自宅からのオンライン授業実施
4月下旬
中学三年生の自宅にiPadを配送
5月1日(金)
登校停止期間の延長決定
5月中旬
中学三年生以上の学年においてGoogle Classroomの運用を開始
5月25日(月)~
分散登校開始(旧教室から新教室への移動・連絡事項の伝達)
5月30日(土)
中学入学式 規模を縮小しての挙行
6月1日(月)
始業式(生徒は午前・午後に分かれて登校。始業式の様子はZOOMで各教室に配信。)
6月2日(火)~5日(金)
分散登校による授業開始 40分×5時限
(生徒は出席番号の奇数・偶数に分かれて一日おきに登校。)
6月8日(月)~
通常授業開始 40分×7時限(学年によっては8時限)
6月11日(木)~
部活動開始

生徒・保護者
の感想

生徒からの声

オンライン授業実施中のアンケートによる自由記述より一部抜粋
  • このような状況の中、オンライン授業を始めるにあたり、尽力していただきました先生方、学校関係者の方々に感謝申し上げます。登校できない日々が続き、受験生でもありこのような状況がとても心配でしかたありません…このまま学校が再開されるまでこのオンライン授業で学校生活と同じリズムを毎日続けてほしいです。 今後、登校可能になりましても是非このオンラインの形を夏休み、補習などなんらかの形で利用できることができれば活用していただきたいと思います。(高3)
  • 学校に行けなくても授業ができ、また、待ちに待った制服も着ることができ、とてもうれしいです。(中一)
  • 思ったよりも、授業をスムーズに受けることができました。
    雙葉での初めての授業がオンラインになりましたが、楽しく意欲をもって参加できました。(中一)

保護者からの声

オンライン授業実施中のアンケートや「登校停止期間中の家庭での様子」から一部抜粋
  • コロナウイルスの影響で登校ができなくなり、不安や焦りで気持ちが落ち着かない日々が続きましたが、オンライン授業が始まり、先生やお友達とつながることができてからは、表情も明るくなり、落ち着きを取り戻したようです。勉強のリズムも普段通りの流れでできたので良かったと思います。
  • オンライン授業にも慣れ、授業中はとても集中して学習できているように思いました。
    先生方が早々にオンライン授業を導入してくださって大変ありがたく思っております。
  • 経験のない長い休校となりましたが、まずは早々にオンライン授業を開始して頂けたことに感謝申し上げます。本当にありがとうございました。休校当初は休みを喜んでいたもののさすがに長期となりましたので、オンライン初日には「やっぱり学校っていいね!」とつぶやいておりました。先生方と仲間に会えて嬉しかったようです。
  • 入学式はまだでしたので、娘がまだ小学生の気分と言っておりましたが、今日は制服を着て初めての授業で、緊張で疲れたと言っていましたが、やっと中学生になれたと嬉しそうでした。 先生方の熱意も伝わりとてもいい1日でした。ありがとうございました。

おわりに

今回のオンライン授業は、画面を見続けることによる生徒の目や体への負担、学校が求めるICT環境の整備へのご家庭の負担等、生徒やご家庭にはご負担をお願いすることになりました。また、Wi-Fi環境やリンクの不備によってZOOMの教室になかなか入れなかったり、音声が聞き取れなかったり、画面が見ずらかったりなど、普段の教室での授業と全く同じものを提供するということはできず、また、生徒から出される様々な要望に対して一つひとつに応えていくことはできませんでした。
それでも、生徒が毎日きちんとZOOM上の教室に入室し、一生懸命に授業を受けている姿に私たち教員も励まされ、画面越しでも伝わってくる生徒の「学びたい」という熱い気持ちが、私たち教員の「学びを止めない」という活動の支えとなりました。どんな状況であっても学びたい気持ちは止められないし、学ぶことはできるのだ、と改めて教えられた貴重な時間でした。
生徒たちも、目が疲れたり、肩こりがひどくなったりしたようですが、学校に登校して勉強するという「当たり前」と思っていたことが普通に行えることのありがたみを、今回の取り組みで気づくことができたようです。

今回のオンライン授業は、各ご家庭のICT環境の整備にご理解とご協力をいただいた上で成り立った取り組みでした。保護者の皆様には、ご協力に感謝申し上げます。
また、3月の休校開始早々にオンライン学校を立ち上げてオンライン授業に取り組んでいた静岡聖光学院様には、本校のオンライン授業実施に際して、そのノウハウを惜しみなく伝授し、ご協力いただけましたことに教職員・生徒一同厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

お問い合わせ

本校のオンライン授業についてご質問等がございましたら、
本校ICT教育検討委員会委員長 松岡までご連絡ください。
電話:054-255-0305(代表)